「おみやげ」と日本酒
「おみやげ」という言葉の由来については、いろいろな説があるようです。
発生の起源も一つではないようで、定説として一つに決まるものでもなさそうです。
しかし、一般庶民の中で現在のようなイメージの「おみやげ」が発生し始めたのは江戸中期以降のようです。
『お伊勢参り』などの”旅”が発達するにしたがって、現代の旅行情報誌のような瓦版も発行され、各地の見どころ、グルメ情報、名物情報などを提供するようになったそうです。
そのような流れの中で、次第に現代のような「おみやげ」の習慣が育っていったようです。
そのような「みやげ」の原初的な由来としては『宮笥(みやけ)』とするのが神崎氏の立場です。
”笥”という文字は”け”と読み、古代日本での食べ物を盛る器、つまり食器の意味だそうです。
したがって『宮笥(みやけ)』は”神様から授かる器”を意味するそうです。
現代でも神社へ参拝した際には「御神酒」を授かります。
これは略式の「直会(なおらい)」であって、いいかえれば「神人供食」であり、お神酒を介する”神”と”人”との契約の成立儀式です。
「御神酒」を授かることによって神からの”ご利益”=”おかげ”を授かることになるわけです。
現代であれば御神酒を小瓶に入れて持ち帰り、家族に分け与えることも可能ですが、江戸時代はそうは行きません。
したがって、”おかげ”を授かったという”証”だけを持ち帰ることになりました。
その証というのが、御神酒を授かった時に使った『盃』であるわけです。
その『盃=宮笥』が”みやげ”の原点であるということなのです。
やはり御神酒は日本酒の原点なのかもしれませんね。
そして日本酒はいろいろな場面で日本文化を形造ってきたものです。
日本酒とキリスト教のワインが比較されることがあります。
しかし、私は日本文化にとっての日本酒はキリスト教の『十字架』と比較すべきではないかとさえ思うのです。それほど重要なツールなのではないか?と・・・・
なにせ、”契約”とか”誓い”の道具となるのですから。
こんなことをグタグタ考えていましたら、我が家にも『盃』が一つあることを思い出して、飾り棚から引っ張り出してきました。
その時に御神酒を頂いて、その盃を紙に包んで持って帰ったものです。
盃の表には春日大社を現わす”藤の花”、裏には「春日大社」の刻印もあります。
今更ですが、すごく有難く思えてきました。
今夜あたりはでっかくなった娘にお酌でもさせて、この盃で一献やってみますか・・・・
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by sakenihon | 2009-04-20 19:16 | 日本の歴史