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前回記事についての補足です

今回は肩の凝らない軽い話題にする予定だったんですが、急遽前回の『酒米の調達方法』の記事についての補足となりました。
興味のない方、ごめんなさい。

まずは、日本経済新聞の記事が日経ネットでも見つかりましたのでご報告。
         ⇒ 【日経ネット】

この記事をよく読むと、「加工用米」と書いてありました。
その点を見落としておりました。。
そのため酒蔵は酒造用酒米のほとんどを全農(JA)から購入しているというニュアンスの前回の記載は間違いです。
あくまで「加工用米」の調達の問題であり、酒造好適米や食糧米などの一般的なお米は、すでに食管法から食糧法へ変わった時点で、自主流通米の容認が始まり流通自由化が進んでいるということのようです。
「加工用米」は減反カウントから除外されるなど、難しい問題が関係しているようで自由化からも取り残されていた部分だったようです。(未だによく理解できてません。)

新聞記事を充分理解しないままに取り上げてしまったことをお詫びいたします。  ペコペコ。


その後、この件について少し調べてみて、解る範囲で補足します。

今回の20年3月の食糧法の法改正は、例の三笠フーズの事故米に端を発しているようです。
加工用米とは多目的用途米ともいい、米粉からほぼ食糧米に近いものまで含み、酒造のほか米菓子や切り餅、和菓子などに使われているようです。 (事故米は工業用米で加工米とはまた違うもの。)

その加工用米は各農家から全農に集められ、全農が各業界への割り振りや価格を決めているという構図だったようです。
しかし、今回の事故米混入によって、従来の方法がかえって流通を複雑にし、米のトレーサビリティーを妨げているという問題が明らかになったため、その改善のために今回の法改正が行われたという経緯のようです。
結果として価格が下がるのはさらにいいことですし、酒製造者と米生産者がより近くなり、顔が見えるようになることは大変いいことです。

今更ですが、「加工用米」は酒造好適米でもないし、一般米でもありません。
したがって、このブログを読まれている皆様がお飲みの日本酒にはほとんど使われていないものだと思います。
普通酒の中でもパック酒のようなもの、または大手酒造メーカーが行う、(米を蒸さずに高圧蒸気で融かす)融米造りなどで使われるお米なのではないかと推測します。

こんな記事も見つけました。   ⇒ 【醸界タイムス 6月5日】
今回の法改正とは関係なく、加工米全体の価格決定システムは生きています。
そして今年はJAを通して購入すると昨年より値上げになってしまうとのことです。
特定名称酒に軸足を移している酒蔵はそれほど関係がないのかもしれませんが、未だに普通酒に頼っている酒蔵にとっては死活問題です。


では、なぜ秋田県酒造組合が今回このような動きを行ったのか?
これは、完全なのんべえの推論ですが、米処・酒処としての秋田の特性が影響しているのだと思います。

第一に、秋田は日本有数の米処のため、米の減反政策による過剰米ができやすい(=程度の良い加工用米ができやすい)土地柄なのではないかという米の供給サイドの要因が考えられます。

第二に、秋田県は言わずと知れた酒処で、加工用米の需要が高いという需要サイドの要因です。
秋田県は兵庫・京都の大手メーカー集積地を除いて、清酒製造高は新潟に次いで全国第二位。
さらに日本酒の成人一人当たり消費量も新潟に次いで全国第二位。
 (出典) 平成19年度酒税統計情報
したがって、秋田県は地産地消での清酒消費傾向が高い有数の県です。
そこで地元で飲まれる普通酒製造用に加工用米を大量に必要にするのではないかと考えました。

以上の背景からJAを通して割高な原料を購入するより、地元の農協と直接契約するメリットが大きく、全国に先駆けて直接調達への変更を実施することのなったのではないか?
さらに農家側にとってもJAの中間マージンがなくなる分、高く売れるというメリットがあったために契約締結となったのではないか?

以上がのんべえの推論です。

秋田県の名誉のために書き添えますが、秋田に限らず酒処の日本酒呑みは普通酒が中心です。
純米だの吟醸だのを毎日ガブガブは飲めませんからね・・・・
そのため、「旨い普通酒」を如何に造るかに日夜真剣に取り組んでいる、地元顧客主体の酒蔵が数多く存在します。
残念ながら、それらは全く都市部へは出てこない、全国的には無名のお酒がほとんどです。
そのようなお蔵や銘柄が今後も生き残れることを、一人ののんべえとして祈ります。


また、今回の問題は灘、伏見の大手酒造メーカーが最も関係することだと思いますが、その部分は敢えてノータッチといたしました。(正直なところ、よく解りません。)

ド素人が推測ばかりで書いておりますので、多々間違いがあることと思います。
良くわからないままのことを長々と書いてしまって申し訳けありません。
間違いがありましたらご遠慮なくご指摘いただき、是非ご教授をお願いいたします。




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by sakenihon | 2009-06-21 01:52 | 日本酒の作り方  

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