菊姫 『鶴乃里』


少し引っ張ってしまいましたが、『鶴乃里』の感想です。

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お酒のデータは上の写真の通りで、山田錦精米65%の山廃純米酒です。

総量1t仕込みのAAAランク山田錦を長期低温で限界まで発酵させたものを、

きめ細かい低温管理のタンク貯蔵でじっくり熟成させたお酒、ということです。

その結果の価格が720mlで2100円、1.8Lは4200円と、かなりのいいお値段。

IWC(インターネット・ワイン・チャレンジ)というイギリスのワインコンテストのSAKE部門

の純米酒の部で2007年ゴールドメダルを獲得しています。

IWCは4月開催ですので、出品酒は1年以上寝かせたものだったと思います。

全国新酒鑑評会には背を向け、IWCへは出品しているあたり、菊姫の主張が見えます。

菊姫の吟醸酒はすべてアルコール添加なので、吟醸酒部門での出品は無理なのか?


またまた前置きが長くなってしまいました。(年をとるとクドクなります。ごめんなさい。)


さて、本題の感想です。

【開栓 1日目】

まずは冷えたままで1杯。

舌の上をとろとろと流れるような重厚な口触りで、甘みを感じます。

精米65%なのに雑味は全くありません。 スッキリとした飲み口でキレは申し分なし。

複雑な旨味と薫りが一体となって口中に広がります。

メロン・梨・巨峰・バラの花・・・・・なんと形容していいか? いろんな薫りが見え隠れ。

ただし、酸は少しきつめです。

ピリピリした酸ではなくて、重めで喉の奥に響くような酸でした。

お燗も試してみましたが、個人的には冷えたものを口の中で温めながら楽しむ方が好きでした。


【開栓 2日目】

酸が多少抜けて、少し穏やかな感じになっていました。

酸が抜けた分、旨みが感じられ印象は”重厚”から”濃醇”へと微妙に変化。

薫りの複雑さは変わらず。


【開栓 4日目】

さらに酸が抜けて随分飲みやすくなりましたが、逆に1日目が懐かしい感も。

キレの良さ、薫りの豊かさは変わりません。

やはり、このお酒の醍醐味は1日目だったかも。

問題は強い酸や旨味とバランスが取れる肴の取り合わせなのかも・・・・

そこで、ちょうどお鍋にあった”牛スジと大根の煮物”を一緒に試してみました。
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悪くはないのですが、まだ牛スジの方が負けてます。(味付けが薄すぎたか・・・?)

もっと濃厚なシチューとかステーキ、ゴルゴンゾーラチーズなどと合わせてみたく

なりました。 石川名物の”へしこ鯖”でもいいかも・・・・ 

このお酒はあくまでも食中酒なんだと思います。

イギリスのコンテストで評価された理由がわかる気がしてきました。



このお酒で私が一番印象的だったのは”薫り”です。

ほのかですが吟香が漂います。そこに熟成香が乗っかって複雑な薫りに。

精米65%でも最高のお米で吟醸造りをすればこうゆう薫りが湧いてくるんだなあ~~

”香り”ではなく”薫り”と表現したくなる大変ふくよかで、奥深い薫りでした。


メロンのような、梨のような、巨峰のような、ナッツ、薔薇の花のような・・・・

いろいろな表現ができる薫りでしたが、もしこのお酒が(それらがなにもない)江戸時代に

存在していたらどんな形容をされたでしょう?

高貴な花、”菊の薫り”に喩えられたことはなかったのでしょうか・・・・

”菊酒”とはそんなところから生まれた表現なのかも・・・・などと勝手な妄想を抱きながら

楽しむことができました。

また、これを数年寝かせるとどんな古酒になるのか?との想像も楽しいものです。


正直なところ、個人的好みに対してはこのお酒は少々重すぎました。

もう少し酸が柔らかくスッキリとしたものが好きなのです。

しかし、この重たさは満寿泉を思い出させます。

やはり能登四天王 濃口杜氏直伝の能登流の特徴なのかもしれません。

そう考えると、濃醇な能登流純米酒の一つの典型として十分楽しめる一本でした。



【菊酒】
”菊酒”の呼称の起源には諸説あるようです。

白山比咩神社の祭神菊理媛からとの説のほか、金沢市内を流れる”犀川(さいがわ)”

の別名(雅名)を菊水川
と呼ぶことから、などです。

いずれにしても、豊かな水とお米を使ったこの付近のお酒が京都・大阪などを含めた各地で”菊酒”

として高く評価されていたことに間違いはありません。


造り手、米、水、時間、そして酒の神様 すべてに感謝。



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by sakenihon | 2009-10-15 14:30 | 本日の一献  

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