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”さなぶり” と ”さのぼり”

昨日はさなぶり焼酎のご紹介でしたが、タンタンさんからのコメントで”さなぼり”

についてのご指摘がありました。

この機会に私が知識の中での”さなぶり”についてのウンチクを披露させていただきます。


昔の田植えの作業は集落単位、いわゆる「字(あざ)」の単位の共同作業だったそうです。

集落内の田植えがすべて終了した後にみんなが集まって行う「お疲れさん会」が

「さなぶり」です。

その場合、集落内の地主・名主・庄屋さんなどがお酒や食べ物を用意して振る舞う

というスタイルが多かったのかもしれません。

場所は集落近くの山の中腹等に登って行っていたようです。

さなぶりは”田の神様”が山へ帰られるのをお見送りする祀りごとだったので、

そのような場所で行われたということらしいです。

”田の神様”というのは元々は”山の神様”で、田植えの季節になると集落へ降りてきて

田植えが終わると山へ戻るという神様なのです。

『さ』というのが”田の神様”を指す神聖な言葉です。

『さ』が山へ登るので『さ登り(さのぼり)』

ですから、”さなぶり”の語源は”さのぼり”

西日本、特に九州地方では今でも”さのぼり”または”さなぼり”だそうです。


さなぶりでは田植えの主役となる若い女性を上座に座らせて労をねぎらった

という話も聞いたことがあります。

その若い女性が『早乙女(さおとめ)』です。

”さおとめ”の"さ"も、さなぶりの”さ”と共通の意味です。

5月(田植えの季節)の事を”さつき"といいますが、この"さ"も同じ。

ついでに"桜"の”さ”にも共通性があるそうです。

”さくら”の語源は神聖な鞍(倉)という意味が含まれていて、

「山から下りてきた神様が座られる場所」というような意味なのだそうです。

桜の花見も只の宴会ではなかったのです。

農村での花見は、さなぶり同じく山の中腹等へ登って行われたそうです。

それは、山の神様を下界へお迎えする祀りだったのです。

神様は桜の花見で下界に降りてきて、さなぶりでお帰りになるので、

『桜の花見』と『さなぶり』は一対の祀りごとだったということですね。

花見の時期や花の咲き具合で田植えの日取りも決められたそうですので、

花見をしながら、「今年の田植えはどの家の田圃から始めようか?」などの

相談もしていたのかも。

花見の時に桜の枝を一枝折ってきて、田んぼのあぜに差して豊作を祈る

なんていう願掛けもあったとか・・・・


最後に『酒』の"さ"。

もちろん、これも無関係ではないのでしょう。(明記された文献は今のところ知りませんが)

昔の女言葉で『酒』のことを『ささ』と言っていたくらいです。

『酒』は神様、神事、願掛け、深く、深~~く結びついていますからね。


神道から派生したのでしょうが、日本では人間は死んで完全に成仏するまでの間、

死霊として山に居ると考えられていたそうです。(三十三回忌が終わるまで?)

ですから、山は神聖なものであり、頂上付近にお社を築いてお祀りしている。

ですから、田植えの度に山から下界に降りてくるのは、キリスト教的な神様ではなくて、

先祖神的な神様だったと考えた方がいいようです。

お盆の迎え火・送り火とも繋がりますね。

日本の山々にはご先祖様たちがウジャウジャといらっしゃるのですねえ~~


ああ~~長々と書いていたら一杯やりたくなりました。

ご先祖様に感謝してお神酒をいただきますか・・・・



『浦和 和酒処さなぶり』のHPへ 


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by sakenihon | 2010-11-14 20:54 | 日本の歴史  

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