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佐原の最上白味醂

千葉県佐原市 現香取市佐原は江戸時代には利根川の水運を活かし、物流上の要として大変栄えた街でした。
今でも街の中心を運河が流れており江戸の情緒を色濃く残し、映画や時代劇のロケ地としても多く活用されている『街ぐるみ博物館』の街です。
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また、隣接の『香取神宮』は下総国一宮で全国400の香取神社の総本社でもあります。
江戸時代に栄えた『お伊勢まいり』は全国から現三重県伊勢市の伊勢神宮を目指す旅ですが、東方からのお伊勢参りの際には香取神宮に参拝し、江戸で名所見物などをしながら、伊勢を目指すというのが定番コースとなっていたとの記述もありますので、その繁栄ぶりは大したものだったのでしょう。(岩波新書 江戸の旅文化 神崎宣武著)
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また、全国を測量し詳細な日本地図を作成したことで知られる伊能忠敬は佐原の出身で、旧宅近くに伊能忠敬記念館も建造されています。

文化的にも大変に栄え、小江戸とも評され廃藩置県の際には千葉県の県庁所在地の候補にもなったといいます。もしそうなっていたら今の千葉県は随分とイメージが変わっていたかもしれませんね。

こんなに栄えた佐原ですから酒蔵も多かったそうですが、現在ではたった2軒が残っています。
幸いなことにこの2軒は極めて健在です。
一軒は『東薫酒造』さんこちらの蔵の杜氏及川恒男杜氏南部杜氏協会会長、全国酒造杜氏連合会会長を務ておられる日本屈指の現役名杜氏で、吟醸酒を中心に毎年いい酒を醸しつづけている蔵です。

そして、もう一軒が『馬場本店』さん
馬場本店さんは日本酒も造られていますが、何といっても『みりん』が有名です。
商品名は『最上白味醂(さいじょうしろみりん』です。
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『味醂』が通常の日本酒と違うところは、原料米に『もち米』を使うこと。
それと発酵の日数(いわゆる「もろみ日数」)が大変長く約2ヵ月も続くこと。つまり、徹底的に糖化させて甘みを引き出すということのようです。

高精白なもち米から造ったものを白味醂、低精白のものを赤味醂と呼んでいたそうです。


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馬場本店さんの『最上白味醂(さいじょうしろみりん』は醸造用糖類などを加えず、国内産もち米と焼酎を用いた江戸時代そのままの製法で造られた味醂で、『飲める味醂』とも呼ばれます。

使いかけで保存しておきますと、右の写真のように瓶の口や首の部分に白い粉が付いてきます。これは糖分が結晶化したもののようです。それほど糖分が多いということで驚かされました。
また、開栓後は(写真のように)色が濃くなることはあっても、香味は変質しないそうです。

私が、佐原に行った時の馬場本店さんの売店での光景ですが、『みりん』というものの理解がないらしい外人さんが、この味醂を試飲して『グッドスゥーイトワイン!』と表現していました。
非常に的を得た表現だと思います。

価格は普通の日本酒並みですので一般の合成みりんに比べると割高ですが、和洋を問わずプロの料理人からは「一度使うとやめられない」と評価が高いようです。
特に仕上げの照りに差が出るのだそうです。

東京からも日帰りで気軽に出かけられる距離です。
もし、機会がありましたら是非一度は立ち寄って、街中の散策をしながら馬場本店さん、東薫酒造さんへ立ち寄ってください。 (2軒は隣接しています。)




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by sakenihon | 2008-11-16 13:37 | その他いろいろ  

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