宮城酒蔵巡りを振り返って
『ランキング1位 獺祭入荷 900円』なんて張り紙も目につきました。
磨き50(2835円)が、なんでワンショット900円になるのか・・・・
いい酒をより手頃な価格で、という蔵側の想いを飲み手に伝えるのは容易ではありません。



【宮城のお酒の印象】
今回の宮城県の酒蔵巡りは、蔵巡りというより食べ歩き飲み歩きでした。
購入したお酒(4合瓶7本)も飲みつくしました。
するとほとんどのお酒に共通する印象がありました。
「軽い」 「フレッシュ」 「酸が弱い」 「キレがいい」 「やさしいフルーティーな香り」
もちろん、それぞれに個性豊かなんですが、共通点も強く感じたんです。
従来の私の宮城の酒のイメージは、「比較的重厚で芳醇」「豊かな米の味わいと香り」でした。
私の古いイメージと現在のイメージは明らかに違っていました。
【宮城酵母の変化】
帰ってきて、お酒を味わいながら少し調べましたら、その原因らしきものが・・・・・・
それは”酵母の変化”です。
以前は”初代宮城酵母”と呼ばれる酵母が多用されていました。
50年ほど前から浦霞の故平野佐五郎杜氏が使っていた、吟醸香を良く出す酵母です。
昭和40年に宮城県酒造組合醸造試験所により分離され、宮城県内と平野杜氏の弟子
だけに使用が許され、”浦霞酵母””平野酵母”とも呼ばれていました。
その後、昭和60年からは(財)日本醸造協会によって清酒用協会12号酵母として
全国の酒蔵で使われるようになりましたが、その後変異してしまい平成7年以降は
ほとんど使われていないようです。
私のイメージに残っていた”宮城の酒”のイメージは、この”初代宮城酵母”で醸された酒
のものだったのかもしれません。
現在の宮城のお酒の使われているのは、初代宮城酵母を親として、平成12年に開発された
”宮城マイ酵母”(正式名称:宮城酵母 MY-3102株)です。
”宮城マイ酵母”の特徴は・・・
「親株である初代宮城酵母に比べてもろみ後半の発酵が良好で、製成酒の酸度も低く、
また製成酒の味が酸度の違い以上に酸味の立たないやわらかなものとなりました。
やわらかな口当たりとスッキリした後味を特徴とする宮城の純米酒造りに適したものでした。」
(こちらのページからの抜粋⇒ 【宮城県産業技術総合センター】
この記載内容が、今回感じた宮城のお酒のイメージにピッタリ当てはまります。
今回感じた違和感の裏には、この酵母の変化があったのではないかと思うのです。
「宮城の酒は良く知ってるから・・・」と近年あまり飲んでいなかったようです。
その間に酒質が大きく変化していたようで、お恥ずかしい限りです。
今回の経験で古い情報を更新することができました。
お酒は毎年変化してますね。 油断できません。(苦笑)
【酵母がもたらす酒蔵の変化】
”県産米を使った純米酒造り”に合った酵母の開発に成功したことで、
『宮城県の純米酒宣言』も可能だったのかもしれません。
”宮城マイ酵母”が使われ始めた時期と、新澤酒造さんの”伯楽星”がデビューした年が
ピッタリ符号するのも偶然ではないような気がします。
反面、ご本尊の浦霞さんは、初代宮城酵母から分離した独自の酵母を使い、蔵の味を
守っておられるようで、酒質も旧来の面影を残していました。
老舗の立場があるだけに、酒質の急激な変化には苦慮されているかもしれません。
酵母の変化がもたらす新旧交代劇を見るようです。
伯楽星も浦霞もどちらも本当に大好きな酒です。
それぞれの立ち位置で、守るべきは守り、変えるべきは変え、
旨い酒を醸し続けていただきたいものです。
9月12~14日の3日間で、廻った酒蔵は14蔵。
準備不足のため外観だけの見学が多かった今回の蔵巡りでしたが、またまた多くの方に
お世話になりました。
感謝 感謝です。
新澤酒造 愛宕の松 伯楽星




一の蔵 一の蔵
寒梅酒造 宮寒梅
田中酒造 真鶴
中勇酒造 夢幻
山和酒造 わしが國 山和
橋平酒造 玉乃緒
平孝酒造 日高見
墨廼江酒造 墨廼江
小嶋総本店 東光
千松島 千松島
吉岡酒造 志ら梅




阿部勘酒造 阿部勘 おもたか
佐浦 浦霞
(巡った順 敬称略)
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by sakenihon | 2009-10-03 16:24 | 酒蔵めぐり