ウイスキーの薫りに酔う
Bar D&M
湯島の春日通り沿いの蕎麦屋の2階にこっそりとその店はあります。
酔った勢いを冷ますために時々立ちよります。
ここのマスターはまだ若いながら、すごい見識と嗅覚も持ち主。
のんべえ20才台はウィスキーばかりでしたので、一通りは知っているつもりでしたが、
この店では知ったかぶりは一切しません。
今の気分とか飲みたいお酒のイメージを伝えて、あとはお任せ。
先日も「とにかく美味しいものを・・・」とお願いしたら出てきたのがこの2本。
詳しい方がみたら、きっとのけぞりそうなもののようです。
最初にいただいたのは左側のスコッチ。
詳しい銘柄などはわかりませんが、写真をみるとARMORの20年物?
ハーフショットで出していただき、大きなロックグラスの底に2~3㎜の琥珀色の液体。
ところが、グラスに鼻を近付けるととてつもなく深く豊かなモルトの薫りが爆発しました。
驚き!! ウイスキーのブラックホールに吸い込まれたような衝撃でした。
薫りを嗅ぐだけで頭がクラクラ。
口に含むと素晴らしい薫りが鼻に抜け、液体が流れた喉の奥には長く長く余韻が残ります。
このお店ではいつもこんな調子です。 こんなお酒があったのかと降参するばかり。
「ここに氷を入れてもらえますか」と頼んでしまいました。
日本酒はロックでアルコール度数を下げることで薫りを立たせることがあります。
ウイスキーも普通はオンザロックの方が薫りが立ちます。
それを考えて、さらに薫りが広がることを狙ったのです。
マスターは黙って、4㎝くらいの丸い氷を一つグラスの中へ。
すると、さっきまで爆発していた薫りがあっというまに消えてしまいました。
聞くと、このレベルのウイスキーに氷を入れるのは邪道だったんです。
完全にお酒を殺してしまいました。 まったくの愚行だったのです。
間違いだとわかっていても、お客様の注文には従うというマスターの態度。
賛否があるかもしれませんが、わたしは尊敬できます。飲み方は飲み手の勝手なのですから。
また、いろいろと勉強させてもらいました。
気を取り直してもう一杯。
写真右側の瓶のお酒が出てきます。
ストラスアイラという蒸留所で造られたもののようです。 =>こんなブログが
一杯目があまりに衝撃的だったためか、今度はそれほどの驚きはありませんでしたが、
これまた同じく薫りが深く深く、広く広く渦巻くような雫です。
なんと、このお酒は1965から2007年まで樽で眠っていた43年ものの逸品。
普通、ウイスキーは瓶詰時に複数の樽を混ぜてブレンドするのですが、これはシングルカスク
といって、単独の樽の原酒をそのまま瓶詰めしたもの。
今回、数滴飲んだスコッチからは数十年前のスコットランドで働く髭の職人さんの顔が
思い浮かび、記憶に深く刻まれました。
日本酒のブログでどうしてウイスキーを取り上げたのか?
美味しかった感動を伝えたかったから。
それもありますが、もう一つ。
最近、ハイボールがブームですね。 立ち飲み屋さんでもハイボールが大人気。
飲みやすく、爽やかで、なんといっても安く酔える?
日本酒と同じく長らく低迷を続けたウイスキー業界の久々のヒットです。
でも、あれでいいのかなあ?と疑問を感じます。
本当にウイスキーの美味しさが伝わっているのかな?と
結局、造り手の姿がが見えないお酒は、飲み手に感動は与えられないように感じます。
過去何度かハイボールブームはありましたが、今回もブームで終わるような・・・・
そのあとには何も残らないような・・・・
日本酒が三増酒で辿った路と同じではないことを祈るばかりです。
余計なお世話ですか? ですね。
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by sakenihon | 2009-11-03 22:57 | 本日の一献