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本日の一献 ≪10月8日≫ 安納芋

今日の一献は「あまから」のお話からになります。
前置きが長くなりますが、お付き合いください。

日本酒の肴は一般には多少なりとも塩辛いものとか味のしっかりしたものが合う、というイメージがありますね。
たぶんこれは一昔前の日本酒が大変甘かったため、その甘さとのバランスを取るために自然肴は塩辛いものになったのだと思います。
江戸時代からつい最近までは砂糖は大変高価なものであり、『甘さ』は庶民にとって大変貴重な味覚だったのです。
日本酒も『甘い酒がいい酒』という時代が大変長く続いていたようで、そのような甘い日本酒に合う肴は塩辛いものというのが定石となっていったのではないかと思います。

ところが現在の日本は甘いものが溢れているための反動か、『あまり甘くない』ものが好まれる時代です。
最近の日本酒はそのような背景から『淡麗辛口』がいい酒の代名詞になっております。
しかし、それに合う肴は昔のような塩辛いものとは限りません。
理論的には『辛口のお酒には甘い肴があう』可能性は十分あります。

先日、ある知り合いが「塩ようかんとか甘納豆は日本酒に合うよ」ということを教えてくれ、そうだろうなあ・・・、今度試してみよう! と思っておりました。

と、その矢先にこんなものが手に入りました。
種子島でとれる『安納いも』というさつまいもです。
めちゃくちゃ糖度が高く、蜂蜜のような甘さをもつお芋とのことで、最近注目されているようです。
人工的な甘さではなく、まさに自然の恵みの甘さです。
辛口酒との相性を試すにはバッチリの食材ではありませんか。
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写真でお芋の表面が濡れているように見えると思いますが、なんとこれは焼いている間にお芋の中から噴き出してきた糖分(蜜)なのです!  安納いも 恐るべし!!

中はこんな感じです。
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今まで食べたことがない濃厚で自然の滋養を感じるような甘さ。
水分が多くてネッチリとした感じの食感で、でまるでお正月のきんとんのようです。

そして、ここに合わせたお酒は、またまた地元千葉県、佐倉市の地酒『旭鶴』の「特別本醸造 拾壱萬石」です。
残念ですが旭鶴さんは県外ではほとんど無名で、県内でも佐倉以外では影が薄いようです。
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《お酒のデータ》
(お米)        佐倉産ふさのまい100% 
            (千葉県の酒造好適米)
(精米歩合)     60%
(アルコール度数) 16~17%
(日本酒度)     +9
(酸度)         1.5

味はまさに辛口。実感では+9以上に感じます。
さらに本醸造ということもありすっきりした端麗な酒です。
極めてまともな辛口本醸造です。
ネーミングが『拾壱萬石』であることを考えると、地元向けより観光客向けでしょうから、多少現在の嗜好に沿った造りの味になっているのかも。
私自身も先日『国立歴史民族博物館』に行った時に佐倉駅前の酒屋さんで購入しましたので、正に観光客として購入しました。

『安納いも』との相性を試すにはピったしの酒と思われます。
先にお芋を口にふくみ、ネチョネチョとその天然の甘みを絞り出し、口の中が甘味でいっぱいになったところに、常温の酒をすーっと流し込んで口の中でお芋と絡めたら、もう最高!です。
『安納いも』の大人の楽しみ方ですなあーー。
今日もおいしくお酒が飲める幸せをしみじみ感じる一瞬でした。
感謝。

『辛口のお酒には甘い肴があう』という仮説がここで実証されたことをご報告させていただきます。

by sakenihon | 2008-10-08 23:53 | 本日の一献  

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