本日の一献《10月10日》 ドイツ料理と日本酒
場所は東京、地下鉄溜池山王駅からすぐの『ヨーロピアンダイニングBittet』というお店です。
このブログを始めてからというもの、自宅でせっせと肴を自作してはお酒をチビチビやる毎日でしたので、外食は久々です。
お店の立地は国会議事堂のすぐ裏にあたる場所です。(千葉の田舎から出てくると別世界)
外資系サラリーマンや外国人のお客さんが多い場所で、さらに路面店ということもあり、チョット敷居もお値段も高いかな?とヒヤヒヤものの入店でした。
しかし、結果としてはうれしい誤算。雰囲気は大変家庭的で温かく、肩が凝らないお店でした。
オーナーシェフの日見茂則さんはドイツの一流店で修業を積まれた筋金入りのシェフなのに、すごく人当たりが柔らかく温かい方で本当にリラックスできました。
ドイツをはじめ外交官の常連客も多いそうですが、きっとお家に帰ったような気分になれるからかな?と思いました。
ドイツ料理ってものを食べた経験が乏しいもので、とりあえずスタンダードにアイスバインをいただいてきました。
ブタのスネ肉を塩漬けにしたものを長時間煮込んだ家庭料理だそうです。
唐突ですが、私は博多っ子です。
屋台へは幼稚園ぐらいから父親に連れていかれてました。
そのころにむしゃぶりついた『豚足』の味を思い出しました。
豚足とすね肉ではお隣りの部位ですから不思議ではないにしても、ドイツと博多の屋台を結びつけてしまう、私の感性ってなんなんでしょう?
素朴で滋養に満ちた健康的な料理でした。
長時間煮込んでいるためフォークで触っただけで崩れてしまいそうなくらいやわらかく、脂肪は完全にどこかに行ってしまっていて、プルンプルンのコラーゲンの塊になっています。
塩漬けといってもショッパイわけでもなく、塩が豚肉の癖を消し去って、かわりに肉の旨味がうまく引き出されているように感じました。
フランス料理はソースが命みたいなことを聞いたことがありますが、ドイツ料理は素材の味を引き立たせる料理なのでしょうか。とすると日本料理と似ていますよね。
そういえばジャーマンポテトは日本の肉じゃがに通じるところありますね。
『まるで味覚の日独同盟や~~』(彦麻呂風)
とすると、やっぱり日本酒を合わせてみたくなるのはのんべえの性ではありませんか。
こんな美味しいお料理が目の前にあるのに残念!と思いきや、なんとカバンの中に一本入ってました。・・・・・・・・・・・・・確信犯!
特別に日見シェフのご了解をいただき、チョットだけ試させていただきました。
すみません。またまた寺田本家です。『香取』のお蔵です。
〇〇の一つ覚えのようですが、まだ純米吟醸を飲んだことがなかったことと、お肉料理に負けないようなしっかりとした飲み口のお酒は? と考えたら、やはりしっかりした生もと系のものがいいのではないかと思って選んできました。
本日は寺田本家のメインの銘柄『五人娘』の純米吟醸です。
無農薬自家栽培米を60%まで磨いて、昔ながらの生もとづくりという方法で大変時間をかけて醸したお酒です。
お店に来る途中に冷えた状態のものを買ってきましたので、飲んだ時には15℃程度だったと思います。
生もと特有の乳酸系の香りはほのかで上品、やさしいフルーツ系の吟醸酒らしい香りが加わり独特の世界を造っています。
味はきりりとしたシマリはありますが、舌触りは滑らかです。
寺田さんのお酒にしては濃醇というよりあっさり淡麗系のお酒ながら、お米の旨味もしっかりあります。
しかし、肝心のお料理との相性は?となると残念ながらいま一つというところでした。
お肉にお酒が負けてしまっている感じで残念でした。
ここは吟醸系ではなく普通の純米酒か、あるいは先日ご紹介した『香取90』の方が正解だったかもしれません。あるいは熟成酒などのほうがよかったかも。
あるいは、お燗をしてみると感じがかわったかもしれません。
いづれにしてももっとどっしりとしたボディーがあるお酒がよかったんでしょうね。
ただし、付け合わせのザワークラフトにはよく合ってました。
しかし当然のことながら「ドイツ風あじの酢づけ」にはバッチリでした。
ドイツ風が房総風に変わってしまった感があり、シェフには失礼なことをしてしまったかもしれません。
本来は白ワインなんですよね。ごめんなさい。
やっぱり肉料理に日本酒を合わせるのは少し難しいところがありますね。
まだまだ勉強です。
今日いただいたお料理を参考にして、また自宅で実験を重ねます。
日見シェフ様、大変お世話になりました。
by sakenihon | 2008-10-12 10:37 | 本日の一献