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獺祭(だっさい) 旭酒造の続き・・・・

『山口の山奥の小さな酒蔵 獺祭旭酒造』さんについて、昨日の続きです。

本日は日本酒マニアさん向けの情報になると思います。
ご興味のない方、ごめんなさい。


『かわうそ寄席』は午後からだったのですが、特別に午前中に酒蔵を見学させていただきました。
社長の御子息の桜井一宏常務に案内していただきました。
残念ながら、緊張していたためか写真を撮るのを全く忘れてました。
ですから、この見学で知りえた情報を、できるだけ簡潔に?文字でまとめます。

① 旭酒造のお酒は全量が山田錦の大吟醸酒  

旭酒造の獺祭(だっさい)はもっとも廉価なアイテムでも精米歩合50%の大吟醸酒です。
他に、45% 39% 23%とあり、23%は多分全国一の精米歩合です
お米の表面の4分の3以上を削ってしまうお酒です。
何とも贅沢。 また、このような精米に耐えられるため酒米は全量山田錦です。
大量の山田錦の確保も大変ですので、自社栽培も行っています。
(23%精米の苦労は旭酒造さんのHPに詳細があります。)

② 『獺祭(だっさい)』は、本当に山奥にありました。

なんで、こんなところに酒蔵があるの?っていう場所に蔵はありました。
それもいくつかの酒蔵が合併したお蔵だそうですから、以前はまだ人がいたんでしょう。
今はそんなことが想像もできない状況で、この地区の過疎化のすさまじさを感じました。
いままで見た酒蔵の中でも最悪の立地でした。
こんなところじゃ、商売なんてできないよ! だってお客さんがだーれもいないんだから!  
しかし、獺祭はそうゆう場所で造られています。
だからこそ、だれもやらない方法でお酒を造る努力が生まれたのではないかと思います。
生き残るために。

③ 『獺祭』はほぼ年間を通して造られます。 
 
一般に日本酒は『寒造り』といって冬の寒いシーズンに1年分を造ります。
気温が低い環境の方が何かと酒造りには都合がいいからですが、現代では温度管理設備の力を借りることで、通年生産も可能なのです。

『獺祭』は年間を通し製造を続けることで、設備の稼働率を格段に向上させ、小さな設備で多くのお酒を造ることに成功しています。
現在『獺祭』は2500石以上のお酒を製造されていますが、蔵の規模は500~1000石程度という印象でした。

さらにそのことで多くの在庫を持たなくて済み、常にできたてのフレッシュなお酒を、低価格で消費者へ供給することができる仕組みです。

『獺祭』の酒質は『出来立てが美味しい、フルーティーでライトなお酒』です。
その酒質と、通年製造・即出荷の製造パターンはセットとして成り立っています。
さらに、(昨日書いたように)その酒質が山口の食・味覚とマッチしていることがホッとできるところ。

反面、その酒質ゆえ獺祭には「ひやおろし」「古酒」はありません。
さらに、造り溜めをしないので、時々品切れが発生してしまうのが『玉にキズ』かな・・・・
でも、時々品切れになるから人気が衰えないともいえますね。
  
④ 旭酒造には老練な杜氏さんはいません。

『獺祭』は若い蔵人さんだけで造られています。
桜井常務は、「うちの子たちは未熟で計算も十分にできないような者ばかりなんで・・・」と何度も言われていました。
これは当然謙遜もありますが、ある程度は現実かもしれません。

経験によってモロミのわずかな変化を五感で感じ取れるまでには長い年月がかかるでしょう。
そのためのには膨大な時間とコストがかかります。
それを補う仕組みを旭酒造さんはしっかり作り上げて、そのコストを省く努力がありました。

仕込みタンクの近くに小さな事務所があります。
温度変化、日本酒度、酸度、ボーメなど酒造りの過程で必要なデータを集積する部屋です。
このような部屋は、他のお蔵でも見たことはありますが、旭酒造さんの特徴はこの部屋の壁に貼られたデータのグラフです。
それは仕込みに必要なデータが仕込みタンクごと、日ごと、時間ごとに詳細に記載されたグラフです。
それを見れば各タンクが計画通りに発酵が進んでいるかを蔵人全員が確認できます。
一人一人はたとえ未熟でも、情報を共有することで問題の発生を抑えているわけですね。
これはトヨタなどの大きなメーカーの製造現場でも行われている『QC(クオリティーコントロール)手法』と同じだな思いました。

⑤ 『遠心分離絞り』はすごい!

お蔵の中で絞ったばかりの精米歩合50%の『通常の獺祭』と、同じく50%の『遠心分離絞りの獺祭』の飲み比べをさせていただきました。
その違いの大きさに本当に驚嘆しました。(実は、遠心分離なんて・・・? と思ってました。)
多分、別々に飲んでもわからなかったとおもいますが、同じ条件で比べるとまったく違います。
遠心分離のほうが格段にすっきりと切れがあって、雑味なく透きとおった感じ、さらに旨みが若干ですが豊かです。
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大吟醸酒の絞り方としてはモロミが入った袋をつりさげて、お酒自身の重みで滴り落ちるのを待つという方法が、最も丁寧で高品位とされています。
これに対して遠心分離絞りは、洗濯機のような遠心分離機で酒粕とお酒を分離する方法です。
一見荒っぽいようですが、こちらのほうがモロミにストレスをかけないで絞れるということです。

聞いただけではチョット信じられなかったのですが、 『百聞は一飲にしかず!』でした。
ビールの製造には遠心分離機を使うのはそれほど珍しくはないそうですが、日本酒に取り入れたのは旭酒造さんが最初だそうです。
遠心分離絞りは生産量が少なく手に入りにくいのですが、価格は決して高くありません。
精米50%遠心分離(1680円/720ml)は大変お得なお酒だと思います。
私的には、三割九分磨き(2500円)よりも遠心分離50の方が旨味が残っていて好きです。
店頭でもし見かけられたら即購入をお勧めいたします。
  (東急東横店には、ほぼいつも置いてあるようです。)

⑥ 最後の感想  『酒蔵自体が大吟醸』
日本酒に詳しい方はお解りと思いますが、吟醸酒は酵母菌にできるだけ住みにくい環境を与え、酵母をいじめ抜いて造るお酒といえます。
低温環境、餌になる鉱物が少ない軟水、それにおいしいタンパク質部分をすべて削り落されたお米は、すべて酵母菌にとっては逆境です。
しかし、その厳しい逆境に置かれたときに初めて酵母菌は尋常ではない働きをし、独特の香味を醸しだしてくれるのです。
そうしてできるのが大吟醸酒です。

今回の旭酒造さんの見学の後で感じたことは、旭酒造さん自身がとんでもない逆境(客いない、資金ない、人いない)の中で、尋常ではない発想と努力で『獺祭』というお酒を生み出したのは酒蔵自身がまるで大吟醸の酵母菌のようではないか!ということでした。

蔵元はじめ蔵人の皆さんにお酒の香味以上の畏敬の念さえ感じました。
やはり人気ナンバーワンは伊達じゃない、ということでしょうね!


駄文に長々お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
はたして何人読んでくれるのか?
一人もいないんじゃないかなあ・・・・・・





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by sakenihon | 2008-11-19 00:32 | 酒蔵めぐり  

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