日本酒 酒造り体験講座 《もう一つの酒造り》
ビール造りです !
木内酒造さんは日本酒の酒蔵ですが、現在ではビールの方が知られるようになりました。
それもアメリカで。
元はといえば、日本酒の仕込みがない季節の事業として地ビールを始められたと思いますが、
その『常陸野ネストビール』がアメリカやヨーロッパのビールコンテストで次々に賞を取ったことで、
ニューヨークから人気が出始めて、今や全米の飲食店で置かれるほどの人気だそうです。
ビールの生産は新工場も完成してますます増えているようです。


ビールとともに日本酒も輸出され、アメリカでの日本酒の普及にもつながっています。
これも酒蔵の生き残り戦略の一つでしょう。
また、木内酒造では『手作りビール工房』と称して、素人でもオリジナルビールを造れる
サービスもやっています。(下の写真がその工房です。)

ビールは日本酒と同じ醸造酒ですが、製造工程は日本酒ほど複雑ではなく時間もかかりません。
ですから、1日で発酵の不思議を体験することができ、気軽にチャレンジできます。
ということで、日本酒の搾り作業のかたわらで、オリジナルビール造りの体験もやりました。
体験するのは、『麦芽の粉砕』 『麦芽の糖化』 『麦汁の濾過』 『ホップの計量と添加』
『酵母の添加』までです。
粉砕した麦芽を茹でてます。
これから『麦芽の糖化』を行うために、最適な温度に調整しているところです。
工房中に麦芽の(オートミールのような)ムッとする臭いが立ち込めています。
日本酒でいえば『麹造り』に当たる工程でしょうかね・・・

『麦芽』というのは言葉の通りで少しだけ芽が出た麦です。
この芽の部分には麦の中に含まれる『デンプン』を『糖』に変えてくれる
『アミラーゼ』という糖化酵素がたくさん含まれています。
その『アミラーゼ』が仕事をし易い環境を作るために温度調整が必要なんですね。
ところで、『アミラーゼ』は人間の唾液の中にも含まれているそうです。
お米を噛んでいるとだんだん甘くなってくるのは、口の中でお米のデンプンがアミラーゼの
働きで糖化しているからなんだって! なるほどなー・・・・・
しばらく糖化するまで待った後、温度を上昇させて糖化をストップさせます。
次は、『麦汁の濾過』ですが、それをし易くするために、麦汁を下から汲んでは上からやさしく
振りまくという作業をしばらく続けます。


その作業を続けてゆくと、麦芽と麦汁が層となって分かれてきます。
写真で水分の下に粘土のように見えるのが麦芽の層です。

このような層ができると、タンクの下のバルブから出てくる麦汁の色が澄んできます。
その澄んだ麦汁を別のタンクに集めます。これで『麦汁の濾過』の完成でーす!
なんとなくビール色になってきましたね!
でもこの段階ではまだアルコールゼロのあまーい麦のジュースです。

つぎはいよいよ『ホップの計量と添加』です。
ここで添加するのはビールの苦味と喉越しを造る『苦味ホップ』というものです。

『ホップ』はクワ科の植物の雌花から作られます。
それを加工して樹脂化したものを正確に計量ます。
先ほどの麦汁を再度煮沸させ、その中にホップを投入します。

再度しばらく煮沸した後、次は香り付け。
通常であれば『アロマホップ』という香りの強いホップを使いますが、今回はオリジナルで
柚子で香りをつけた『柚子ビール』をつくることにしました。
したがって、『アロマホップ』の代わりに20個ほどの柚子の果汁ときざんだ皮を投入しました。

この後、麦汁に香りがついたことを確認して作業終了となりました。
(本来であれば、麦汁を冷やした後に酵母を投入するのですが、今回は時間の都合上
蔵人さんにお任せしてしまいました。 以上で所要時間 約3時間半)
麦汁を取り除いた後の麦芽の粕は大変栄養価の高い肥料になります。

木内酒造さんではこの麦芽粕を使って無農薬野菜を作っています。

その野菜は水戸駅前で経営されている『-酒菜- な嘉屋』で使っているそうな・・・・・
今はやりの循環型ビジネスってやつですか?
んー 商売上手やな~木内さん! 感心してしまいますわ。
というわけで、約3週間後には酵母の力で糖がアルコールに変わって、美味しいビールが
出来上がっているはずです。
年末・年始にはまたみんなで試飲会?
楽しみです~~
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by sakenihon | 2008-12-11 00:44 | 日本酒の作り方